ソシオパスという言葉をご存知でしょうか?
ソシオパスとは、一見性格を表しているように感じると思いますが、人格障害で「反社会性パーソナリティ障害」の一種。
相手の気持ちが理解できない、周囲から反感を受けやすい、善悪を問わないなどの人格障害で、後天的な要因によります。今回は、ソシオパスについて一緒に考えていきましょう。
ソシオパスとサイコパスとは違う
反社会性パーソナリティ障害のソシオパス。このソシオパスは、「無責任」「恐怖を感じない」「感情を抑えられない」「ナルシスト」「社会のルールを守れない」などが特徴と言われています。
同じ反社会性パーソナリティ障害のサイコパスとソシオパスと混同されやすいのですが、まったく異なります。
まず、サイコパスは先天的で、ソシオパスは後天的な要因によって起こります。ソシオパスになるのは、人生の中で起こるさまざまなイベントが原因に当たるのです。
また、一般的にソシオパスは、サイコパスよりも衝動的で行動に一貫性がありません。他者と心を通じ合わせるのが困難なのはサイコパスと同じですが、ソシオパスの中には同じ考えを持った個人や集団に愛着を感じる人もいます。
①ソシオパスとサイコパス
ハリウッド映画などの影響からか、ソシオパスとサイコパスは同じようにとらえられることが多く、どちらも反社会性パーソナリティ障害のことを指します。
では、反社会性パーソナリティ障害とはどのようなものなのでしょうか?
アメリカ精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」では、次の特性のうち3つ以上あてはまると、反社会性パーソナリティ障害と定義されます。
- 日常的に法を犯す、または法を軽視している
- 常に嘘をつき、他者を騙そうとする
- 衝動的で計画性がない
- 喧嘩腰で攻撃的
- 他者の安全性についてほとんど考慮しない
- 無責任で、金銭的にルーズ
- 良心の呵責や罪悪感がない
②ソシオパスとサイコパスの違い
ソシオパスは、サイコパスよりも衝動的で行動に一貫性がありません。他者と心を通じ合わせるのが困難なのはソシオパスもサイコパスも同じです。
しかし、サイコパスと異なり、ソシオパスは長期的な仕事に就くことをはじめ、世間から見て普通の家庭生活を営むことができないと言われています。
常に冷静沈着なサイコパスと違い、衝動的に怒りが抑えられないのもソシオパスの特徴といえます。
このように2者は同じようでまったく異なる特徴を持っています。
ソシオパスの代表的な10の特徴
①社会ルールを気にしない
ソシオパスは社会の中で定められたルールを守らないという特徴がありますが、それは常に「ルールが自分の中に当てはまらない」という考えに至ってしまうのが原因です。自分の意思があるように感じ、最初のうちは人によって良い印象を持つかもしれません。
②平気でうそがつける
ソシオパスは、平気でうそをつきます。本当のことのように話すので、うそを見ぬくことに長けている人でも、なかなかうそを見破ることができません。うそをつくことに対して何も感じることがないのです。
③物事に感心がない
ソシオパスは、自分のこと以外には興味がありません。物事に関心がないということは、人に対して何をしても思うところがなく、心が痛むことがありません。人を傷づけてもなんとも思わず、孤立してしまうことが往々にしてあります。
④キレやすい
自分の思い通りにならなければすぐにキレたり、爆発したりするのもソシオパスの特徴。何が何でも自分の思い通りに物事を進めようとします。
もちろん人の事など気にしていませんので、キレてうまくいった後に周りを気にすることはありません。
⑤他人をコントロールしたがる
ソシオパスは、自分の意に沿うように、あれこれと自分の意に沿わせようとするなど、悪質な思考を持っていることが多いとされています。
しかも他人をコントロールしようとしている自分に対し、罪悪感を持ち合わせていません。
⑥人間関係が長続きしない
ソシオパスの人は、一人の人間と関係を長続きさせられない、関係を維持できないなど人格障害を持つ人間ならではの特徴があります。
「おかしな人だな」「人格が破綻しているな」など相手に見抜かれることが多いため、そのようなことがあるのです。
⑦自信家である
ソシオパスの人は自信家です。常に、「自分は誰よりも優れている」と考えている傾向にあります。
自分は他人よりも優れていると考えているからこそ、自己中心的な態度になってしまうのです。一見自信があり、輝いているようにも見えます。
⑧自我が強い
先述したように自信があるのはよいのですが、他人に関心がないのがソシオパスの特徴。「常に自分のことしか考えていない自己中心的な人間」であるともいえます。ですから、会話をしていても他人の話を一切せず、自分に関する自慢話のみとなります。その一方で、自分がどう見られているかをつい気にしてしまう「自意識過剰」な傾向もあります。
⑨衝動的な行動をとってしまう
ソシオパスは「衝動的」も特徴の1つといえます。
たとえ犯罪であろうとも、捕まることをまるで恐れていないかのように、ある行為に対して先のことを一切考えずに行動してしまうのです。
ソシオパスには「代償」という概念がほとんどなく、「楽しいかどうか、楽しいことで刺激が得られるのなら構わない」と考えてしまうのです。
⑩友人が極端に少ない
ソシオパスには友人がいない場合が多いと言われています。
他人に対して興味がないので、本当の友人と呼べる存在は皆無であるといえます。心理学者の心理学者のロス・ローゼンバーグ氏によると「ソシオパスは、自分にとって必要な時以外は、友人を欲しがらない。あるいは、友人がいる場合でも、全員とつながりが希薄で、表面的につきあっているだけだ」なのだそう。
「この人ソシオパス?」と思ったときの接し方
友人や恋人だけでなく、会社の上司や同僚にもいるかもしれないのがソシオパス。できれば、深く接することは避けたいなという気持ちになるかもしれまぜんが、彼らが魅力的であることも否定できません。
ここでは、「この人、ソシオパスなんじゃないかな?」と思ったときの接し方をご紹介していきます。上手にお付き合いをして危険な部分を回避するようにしましょう。
万が一、恋人がソシオパスだった…なんていう時にも役立ててくださいね。
①話を合わせる
当たり障りなくソシオパスと接するなら、彼らの言うことに同意して、嫌われないようにしておくのも1つの対処法です。自分に似た考えを持つ人に愛着を感じるというソシオパスがいます。
ソシオパスの人は常識を無視した発言をすることがありますが、「それはおかしい」と正義感から意見したり反抗したりしても意味がありません。
②話を半分でとらえる
ソシオパスの人は平気で嘘をつきます。嘘をつくことに対して罪悪感は一切ないのです。まるで本当のことのように嘘をつくため、話を全て真に受けていると自分自身が傷ついてしまうことも。
自分が悩む前に「この人の話は〇〇だな」と思うようにして、話半分に聞いておくようにしましょう。
③期待をしない
相手に約束を破られると裏切られた気持ちになり、相手に対して怒りや責める気持ちが沸いてしまいます。それは自分が相手に期待をしているからです。
ルールを守れない、嘘が多い人とまともに向き合ってしまうとストレスでおかしくなってしまいます。
ソシオパスかもしれないと思う人には「こういう障害を持つ人だ」と、見方を変えて振り回されないようにしましょう。
④距離をおくようにする
身近にソシオパスかもしれないと思う人がいたら、どうすればいいか。
それは必要以上に関わらないようにすることです。ソシオパスは、他人の気持ちを考えることができないため、深くかかわり過ぎるとこちらが傷ついたり、悲しい思いをしたりすることになります。
友人や職場の同僚などであれば距離を置けばよいのですが、家族の場合は難しいですよね。そんな際は、精神科や心療内科など専門家に相談するようにしましょう。
ソシオパスとは?まとめ
なかなか難しいお話でしたが、いかがでしたか?
サイコパスとソシオパスを見分けるのは難しいですが、「本当は、どうなんだろうか?」と思ったときは、一度距離を置くとよいでしょう。
ただしソシオパスはサイコパスとは異なり、後天的な発症例が多いのが特徴です。過去に虐待、いじめなど、幼少期のトラウマがある場合は、ソシオパスになってしまう可能性があります。
もし本人に改善したいという意思があるのなら、専門家に相談をすることが大切です。適切な診断や治療で改善されることもあります。
あまり難しいことと捉えるのではなく、心の傷を取り除くなどしてあげるようにしましょう。
ソシオパスとサイコパスは見分けることも難しいので決して自己判断はしないようにしてください。