皆さんは、『博愛主義』と聞くとどんなイメージが浮かびますか？ある人は、マザーテレサを、また、ある人は、イエスキリストを思い浮かべるかもしれません。何となくのイメージはあっても、具体的な説明ができない人が多いのもまた事実。『博愛主義』が持つ意味を理解して、正しい知識を身につけるというのが今回のねらいです。

ここでは、博愛主義の類義語や対義語を見ていき、博愛主義の内容を理解した上で、実際に周りの人たちに目を向けていきましょう。隠れ博愛主義の人が見つかるかもしれませんし、意外にも世界は博愛にあふれているかもしれません。

博愛主義とは

人は誰でも平等に分け隔てなく互いに協力し合うべきだとする立場や考え方。全ての人が互いに排斥することなく、平等に愛するべきだとする主義です。

特定の人だけに特別な愛情を注いで仲良くなるのではなく、出会った人全てに分け隔てなく優しく慈しみの心を持っています。

人類みな兄弟、すべての人を同じように愛を持って接するべきと考え、実際にその信念のもと行動しています。

年齢や性別を問わず誰に対しても、均等に愛情を注ぐので、人気者であり愛されキャラでもあります。

柔和で人当たりも良く、感情もフラットで激昂することなどありません。いつもニコニコして、平等であるがゆえに人と争うこともありません。人を傷つけることも、怯えて身構えることも。

博愛主義の類義語と対義語

博愛主義には、類義語と対義語があります。

類義語とは同じような意味を持つ言葉で、対義語とは正反対の意味を持つ言葉です。

博愛主義の類義語は、慈善家・利他主義、愛他主義等があります。

前述のどの言葉も自己の利益などは考えず、損得勘定無しで、自分以外の人々に変わらぬ弛まない愛を注ぐという意味を持っている単語です。

博愛主義の真逆にあたる対義語は、偏愛です。文字通り、偏った愛情ですね。

偏食、偏見などは比較的よく使われる言葉だと思いますが、愛情も偏ると、自分の気になる人や親しい人、好意を寄せている人だけに愛情を注ぐため、仲が良い人とそうでない人への対応の落差は極端んと言えるでしょう。

ここで、少しだけインターナショナルに、博愛主義を英語表記すると、”philanthropism”となります。

単語の持つ意味は、博愛主義の他に、慈善活動や仁愛という意味もあります。

博愛主義者はphilanthropistと、単語表記が若干異なります。

かなり似ていますので、英語表記する際は、少しご留意下さい。

博愛主義者の特徴

①平和主義者が多い

博愛主義者はニアイコール平和主義者で、人類みな兄弟！全人類・全世界の平和を願って止みません。

むごたらしい事件、事故に巻き込まれてしまった被害者に止まらず、時には、犯罪者にまで共感してしまい、悲痛に心病んでしまうことすらあります。

また、些末な諍いで、喧嘩になってしまった時でも、自分から謝ることができます。

その場にいる人の気持ちを汲み取り、自分のせいで気を悪くしてほしくないと、平和的解決を望みます。

②ボランティア精神に溢れる

次に分かりやすい例を挙げますと、博愛主義者は、ボランティアに参加します。

類義語に慈善家があると前述したとおり、博愛主義者にはボランティア活動に進んで参加されます。

人の為になる・人の役に立つような仕事を好む傾向にあります。人の為と書いて偽りと説いたら怒られます、と言いたいところですが、そこは、博愛主義！そのような些末ごとで感情を荒立てるようなことはありません。

何故、慈善的な活動を好むのか。

その根本理由として、博愛主義者は奉仕の心、サービス精神に溢れていて、「困ったときはお互い様」という思いが源流としてあるからに他なりません。

そして、誰にでも平等に優しい博愛主義者は時として、他人からこう呼ばれます。

「あの人は心が広い良い人だ！」と。

というのも、博愛主義者は、何事にも寛容で心が広く、性格も温厚で、他人がたとえ失敗しても、怒ったり、叱責したりなどしません。

むしろ逆に、優しく励ましの言葉さえ投げかけてくれます。

まさに理想の上司！もしも会社の上司がこんな博愛主義まっしぐらだったら、どんなにきつい仕事にだって前向きになれるというもの。

しかしながら、一般的には、スタートアップ企業など厳しい事実に直面することが多い局面におきましては、競争心が薄れ、博愛主義の考え方は危険であるとも言われているのもまた事実です。

博愛主義者の方が「この人は、心が広いねー」に次いでよく言われる言葉が、「この人は、お人好しだねー」です。それもそのはず、博愛主義者は、例に漏れず、

「この人と一緒にいて楽しい」と相手に思ってもらえるように、その場の雰囲気作りに対して人一倍の努力を惜しみません。

そして、打算など無く、相手の幸せを自分のこととして、喜ぶことができるのもまた事実。

③白黒はっきりつけないのもまた博愛主義者

人はそれぞれ考え方は違いますし、文字通り十人十色。たとえ同じものを見ていたとしても見る方向や、見方によっても見え方も違いますし、人の数だけ意見があります。時に、互いに主張する意見が衝突することだってあるでしょう。

博愛主義の人は、基本、人間が好きだからこそ、その人数分答えがあることを知っています。

しかしながら、あまたあるうちの誰かの意見を踏みにじってしまうようなことは、博愛主義者はしません。

様々な意見が飛び交う中にあっても、その中の誰かの意見を否定するようなことは決してしません。換言すれば、物事について白黒の判断をきってむちりとつけない。明確なボーダーを引かないというのが、博愛主義者のセオリーです。

誰ひとり傷つけるような行動は慎み、全ての、それぞれの意見を真っ向から否定するようなことはありません。

④ペットを飼っている

博愛主義者のベクトルは、対人間だけではありません。つまりは、飼い犬や飼い猫さらには、野良犬、ノラ猫にまで対しても、家族のように愛情深く接しているのならば、間違いなくそれはもう博愛主義者。博愛主義者の人は、人間以外の動物に対しても、すべからく愛情を注いでいるのです。

ここでひとつ、断っておかなければいけないのは、たとえ、いくらペットを可愛がるといっても、ただただ甘やかしているようでは、ペットは、ただのお飾り、ファッション感覚として単なるアクセサリーのように考えている可能性がありますので、そのような人は、博愛主義者といえません。むしろ、真逆の偏愛気質と呼べるのでは、無いでしょうか。

⑤植物にも愛情を注ぐ

ここまで読んで下さった方は、もう予想がついているのではないでしょうか？

博愛主義者の愛情の対象が人間→動物と来て、ハイ次！そう、植物です。

博愛主義者は、生き物のみならず、植物にも同様に愛情を注ぎます。

あなたの周りにも、見渡せば、花や植物を大切に育てている人がいるのではないでしょうか？ニンゲンや生き物に接するのと同様、花や植物に対しても愛情を注げる人は、博愛主義者の資質、充分です。

花や植物を育てることには、ペットを育てるのと同じように長い年月と大変な手間暇がかかり、世話をしなくてはいけません。花や植物を大切に育てている人は、ゆっくりと時間をかけ、大切な何かを育んで行こうとする愛に溢れる気持ちを持っています。目先の利益だけで物事を考えず、愛を育む心を秘めています。

⑥心穏やかな人間関係至上主義

博愛主義の人は、まずもって相手の嫌がることはしません。

常に、相手が傷つかないよう、言動にも注意を払っており、相手の気持ちを踏みにじったり不快な思いをさせないように配慮した言葉を選んで会話をしている非常に心得ます細やかな繊細さを持ち合わせています。

相手に不快な思いをさせない＝自分自身も心豊かなも楽しい時間を過ごすことができます。

楽しい時間を共有できるということは、それだけで財産ですし、とても素晴らしく、それはもうかけがえのないものです。

博愛主義の人は、心穏やかに人と接することで相手が楽しめるような配慮をして、常日頃から言葉を慎重に選び、対人関係をこの上無く大事にしているのです。

博愛主義と八方美人の違い

ここまでで、ん？ちょっと待てよ？そんなに誰にでも、愛想振りまいて、それってただの八方美人なだけでは？とお思いの方。

博愛主義と八方美人とでは決定的な違いがあります。博愛主義の人は、自分の行動において損得勘定なしで、算盤は弾かず、決して利益を求めません。それはまるで、自分の親が子供に愛情を注ぐかのごとく、自分の愛するという行為に対して何も見返りを求めないのです。まさに無償の愛というやつですね。

自身の子供や、若しくは、自身の本当に大切な人へは、例え自分が嫌われても自分がその相手から愛されなくともその人の為に愛情を注ぐことが出来るように、博愛主義の人に思想や行動はその様な愛し方で、誰に対してもただただ無償の愛を与え続けるのです。

恋人が博愛主義者だったら気をつけたいこと

ここまでみてきたように、博愛主義者は自分の言動に対し見返りを求めず、損得勘定で動くことはありません。

また、植物や動物にも人間と同じように愛情を注ぎ、どちらかに偏ったり、否定したりすることのない博愛主義者。

そんな愛情に溢れた人が恋人だったら素敵だと思いませんか？

ただ、そんな素敵な博愛主義者の方は時に周いから勘違いされてしまうことも少なくありません。

ここでは、そんな博愛主義者が恋人になったら、すでに恋人なら知っていて欲しいことをここではご紹介していきます。

①全ての人に優しく愛情を持って接するので好意を持たれやすい

恋愛に博愛主義者の性格の特徴を当てはめて考えたとき、優しく愛情を持って接することができるということは、相手からも好意を持たれやすいということになりますよね。

結果として相手からも好意を返され、モテるという傾向にあります。

また、もう一つの特徴として、物事を穏便に進めたいという人が多い傾向にあります。

そのため、恋愛に関しても自分の意見を先に言うのではなく、相手の意見にまず耳を傾け、恋人の後ろをついて行くような人が多いです。

相手に合わせることに長けているので、喧嘩などもまず少なく、穏やかで優しい印象を持たれやすいと言えます。

②浮気に発展してしまう確率が高い

博愛主義者の性格の中で多い特徴として、相手から求められることに応えることが最大の喜びであると考えている人がいます。

恋愛についても例外ではなく、相手が求めているものが体だったとしても、既婚者だったとしても、前提にある考え方が揺るがなければ、そういったあまり適切とは言えない関係を持ってしまう人も少なくないのです。

③八方美人と勘違いされやすい

これは先程、大項目のⅣでもご紹介しましたが、本当は博愛主義者なのに八方美人と勘違いされてしまうことが多くあるといえるでしょう。

誰に対しても愛情を注ぐことを喜びと感じ、見返りを求めないのが博愛主義者ならば、簡単にいえば、八方美人はその後に自分に何が返ってくるかまでを計算し、考えた上で行動します。

これは大きな違いと言えますが、しっかりとこの２つの意味の違いを理解していなければ勘違いされてしまうことも少なくありません。

一口に”あの子はみんなに優しいよね！”と言っても、それが博愛主義者であれば相手のことを優しく受け止めて愛情を注いでいると捉えられても、八方美人だと思って口に出された言葉であれば、”あの子は誰にでも優しくして自分がみんなから好かれようとしているだけ。”と別の意味に捉えられてしまうかもしれません。

人の捉え方、感じ方はそれぞれだからこそ、言葉の意味はもちろん、恋愛関係においては、恋人だからこそ、相手の考え方や性格をよく理解する必要があると分かりますね。

上記のように、博愛主義者の恋愛は、相手から愛されることも多いですが、時に周りに勘違いされてしまったり、あまり良いとは言えない関係に発展してしまうこともあります。

ですので、博愛主義という言葉、性質、特徴をよく理解することで、上手に付き合い、理想的な関係を築いていけるのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたでしょうか？

”博愛主義”の心を持っている人は、相手を区別することなく分け隔てなく愛し、周囲から愛される人です。

自分は博愛主義なのか八方美人なのか分からなかった方はどちらに当てはまるのか分かりましたでしょうか？

また、自分の周りを見てみて、博愛主義に当てはまる人、八方美人に当てはまる人はいましたか？

それが分かるだけでも人付き合いがもっと充実してスムーズに進むはずです。

相手を選ばず、全ての人に対して優しさと愛情に溢れている人は魅力的です。

今の自分を振り返ったり、自分の周囲の人を思い出して、博愛主義に対する理解を深めたり、何か考え方や見方を変えるきっかけになれば幸いです。